vol.138

Interview
Le Color
オーナー・スタイリスト
ジェフ 吉川さん
 土佐堀川に面したビルの2階。エレベーターの扉の向こうには、ユカから天井に届く透かし彫りの大スクリーン、2メートル弱の2体のトーテムポール、壁を飾る木製のオブジェ達が、外のビル街とは全くの別世界を作っています。そして流れる川と立ち並ぶ高層ビルの借景。今回登場のジェフ吉川さんは、この本物達が作る大人の空間を有するLe Colorのオーナー・スタイリストです。
 美容学校を出て何とかスタイリストとしてやれるようになったとき、自分自身の可能性にかけたい、チャレンジしたいって気持ちが湧いてきて、それで東京に行ったんです。20代の前半の頃ですからね、環境を変えないと自分自身を変えきれない、と思ったんですね。でも行ってみて東京は自分が挑戦する場所じゃないってことがわかった。日本の都市ということでは、東京も大阪もそれほど違わなかったって事ですかね。じゃ外国に出るっきゃないな、ってロスアンジェルスに行きました。

 「いつかは日本を出たい」というのは、子どもの頃からありました。父親が昔アメリカに留学してたんで、彼へのライバル意識というのがあったんでしょうね。高校生の時、美容師になろうと思ったのも、冗談言いながら手動かしてるだけで仕事になって、しかも女性に囲まれた職場は最高やなぁ(笑)、なんて気楽な気持ちだったんですが、でも心のどこかに父親と同じ土俵には乗りたくない、というのがあったのかもしれません。父親も反対しなかったですよ。ただあっちは息子の知能に対して正当な評価を下しただけでね(笑)。
 ロスアンジェルスになったのは、勉強するだけじゃなくて仕事をしたい、研修するだけじゃなくてそこで生活したいってことで、いろんな条件からそうなったんですけど、東京と違って"環境"は見事に変わりましたね。 
 大変だったのは、言語の習得。美容師はお客さんとコミュニケートできないと仕事になりませんからね。アメリカの美容師免許は、日本での経験年数による実績で申請できたんですけど、英語の勉強と、それに環境に慣れるまでの時間も必要だと思ったので、一年間、また美容学校に入りました。いろんな国の人がいて、楽しかったですよ。
 その後ビバリーヒルズのサロンに入って一年ちょっとアシスタント。ただアメリカのサロンというのはお給料で守られる世界じゃないので、基本給は非常に安くて、みんなチップで生活してるんです。だからチップを取れるだけのサービスってことになると、やっぱり言葉が大切ですよね。何とかやっていけるかなって思えるようになるのに、3年くらいかかりましたね。
 それからすぐにスタイリストになったんですけど、なったらなったでこれがまた大変。全くのフルコミッションですからね、お客さんがいなけりゃお給料ゼロですよ。ビバリーヒルズあたりでは飛び込みのお客さんなんかほとんどないので、どうやってお客さんを捕まえていくか、みんなしのぎを削るわけです。

  最初のお客さんはピーター。すごいお金持ちでもちろん決まった美容師もいたのに、その日彼は散歩気分でフラッと入ってきたんです。ホントにラッキーでした。彼からずいぶん友達や知人を紹介してもらいましたよ。
 アメリカと日本の女性で違うのは、髪質もそうですが、美容師に対する期待感。「プロのあなたに任せるんだから、私の髪を素敵にして」って、非常に、しかもハッキリと期待されます。だからまた失望感も大きくって、僕も目が回るくらい怒鳴られたことがありましたよ(笑)。前髪を短くしてしまったんです。似合わないわけじゃないんだけど、でも彼女は気に入らない。すっごい迫力でワーワー文句言われて。「分かった、ちょっと待ってくれ」って裏に行って水飲んで、とりあえず自分の気持ちを落ち着けてから話をしました。みんな、シビアでストレートですからね、ホントに勉強になりました。

気持ちはプラネット、視野はアジア

 5年後、子ども達が就学年齢になったので帰国。ひと区切りついたから次の展開って気もしましたしね。アメリカで「これは面白い」って勉強したのがカラーリング。日本ではまだやってなかったハイライト、ローライトもアメリカでは日常茶飯事でしたから。で、僕が体得した様々なカラーリングの技術を、今度は日本で広めたいと思ったんです。だから店の名前はル・カラー(笑)。
 2年間日本にいた後、今度はメーカーの協力もあって香港に行きました。日本のカラーリング・ブームは、そのままアジアにも広がるだろうってことでね。
 3年やって大阪に戻り、とりあえずアジアを睨みながらこのサロンをオープンで、会社の名前がプラネット、惑星です。大きな広がりで展開できればなっていう思いを込めてつけたんですけど、ちょっと大きすぎたかな(笑)。
 日本の若い人たちも、もっと海外に出たらいいと思います。ただ今でも結構出ていく子はいるんだけど、環境の変化に着いていけないのか、うまくいくのは1割もない。香港もそうでしたけど、アメリカは個人主義で、みんな自分で自分の目標に向かって進んでいく。だからお客さんに対するアドバイスはしてくれても、他は尋ねない限り一切教えてくれない。やってるというのが見えて初めてサポートしてくれるんです。
 日本はチームの和を大事にしてチームのままやっていく。経営者としてはその方が有り難いですけど、でも僕はやっぱり自分というものをしっかり持ってほしい。その意味でスタッフには、たとえば50%の努力をする人には50%のサポートをする。個で伸びる分に関しては上から引っ張らない。それが個を大切にして、そして成長させることだと思ってます。
 やりたいことはたくさんあります。でも淡々とやっていきたいです。この川を見ながらね。

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Price
・CUT ¥4,800 (*ジェフ吉川¥6,000)
・COLOR ¥4,500〜 髪の長さにより料金が異なります
・PERMANENT ¥5,500〜






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