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Helsinki
新シリーズ"Hello, from the world!"は、世界の様々な街からのファッション・レポートです。
第8回は、森と湖、そしてサンタ・クロースの国、フィンランドからです。サンタがプレゼントを運んでくれるという
クリスマスについてカウコ・ウウソクサさんが写真とお便りを送ってくれました。
街のファッションスナップ Hello! from the world VOL.8
 ヘルシンキは高緯度にあるわりにはメキシコ湾流の影響で比較的温暖な気候です。この冬はまだ雪も少なくて、このところの気温も5度前後。寒いときにはマイナス10度くらいになるので、みんなまだまだ軽装です。でも今の時期、日の出は9時過ぎ、日の入りは午後3時過ぎくらい。夜が長いので、やっぱり屋内で過ごすことが多いですよね。
森のなかの妖精のような女の子
個性的な色使いがヘアにマッチ
 22歳のサーラ・キアスは、フォラムと呼ばれているヘルシンキで一番大きなショッピングセンターのソックス売り場で働いています。おしゃれな店員が多い中、とっても個性的で目を引きました。
 彼女の髪はとてもナチュラルできれいでしょ。でも以前はずっとジャマイカのラスタ・ヘアをしていたんです。でも4年前に切って以来、洗髪後タオルドライするだけ、ブラッシングもコーミングもしません。パーマはもちろんヘアサロンにも行きません。彼女は菜食主義者で、いつも自然であることを望んでいるんです。だから着るものも自然素材のウールやコットンを使って自分で作っています。染色もするんですよ。
 今日のパンツは膝丈で切ったブリーチアウトのジーンズの裾に、別のジーンズの裾をカットして繋いだもの。ボーダー柄のソックスとダークグリーンのレッグウォーマーとで、とてもキュートですね。フリーマーケットで買うこともありますが、どれも着心地が良くて、キレイで、エキゾチックなものばかり。好きな色はグリーンで、彼女の服の90%は、いろんな色合いのグリーン。今日のスカーフは、"フリーマーケットからの宝物"だとか。「みなさんに暖かい冬と心に太陽が届きますように」と言っていました。
サーラさん
サーラのカラー・センスは抜群ですね。そしてそれが彼女のヘアの色にとっても良く合ってます。
※画像をクリックすると拡大されます。
サーラさん
ヘタさん
 
ピンクとブルーのパステルカラーに
赤と黒がアクセント清楚で可愛い高校生
 ヘタ・イリは16歳の高校生。友達と一緒にフォラム・ショッピングセンターにクリスマスのプレゼントを探しに来ていました。ヘタも北欧人に多い、ナチュラル・カールのブロンド・ヘアですが、カットとカラーリングは友達のキャティ・ラスティラがしてくれたそうです。キャティも16歳で、美容師になるために勉強していて、いつも友達のヘアで練習しています。
 今日のヘタは、外では軽くて暖かい白のダウン・コートに傘をさしていました(この日は雨と風がひどかったので)が、暖かい室内ではライトブルーのストレッチ・ジーンズに赤いキャミソールとピンクのカットソー。こちらではほとんどの高校生がこんなファッションです。すらりと伸びた足がとっても綺麗なヘタには、ヒップハンガーのベルボトムが素敵に似合ってますよね。
 これから雪が降って気温がもっと下がると、外を歩くのには手袋と帽子、それにマフラーが必需品になります。そのコーディネートもまた楽しいですね。
ヘタさん
7:3に無造作に分けた前髪がフェイスラインに自然にのって、ほっそりしたヘタの顔をフンワリと包んでいます。
※画像をクリックすると拡大されます。
about hair style
【クリスマス】
 クリスマスはフィンランドでは一番のイベントで、ヨウルと呼ばれ、クリスマスから4週間前の日曜日(アドベント/キリスト待降節)にクリスマスシーズンが始まります。教会やコンサートホールではアドベントコンサートが催され、街にクリスマスのデコレーションが登場します。
 4回あるアドベントの日曜日には、1本ずつろうそくをともして、カードを出し、デコレーションを飾り、料理やお菓子を作って着々と準備を進めます。またクリスマスは家族で過ごすので、その前に仕事仲間や友達が集まって、ちょっとしたパーティー(小さなクリスマス)を開き楽しみます。日本の忘年会と同じですね。

 サンタクロースはラップランドの果てに住んでいます。子ども達がサンタに手紙を書いて見つかりやすそうな所に置いておくと、トントがやってきてサンタの所に届けてくれます。だからサンタは子ども達の欲しいものがわかるんですね。プレゼントは子ども達だけでなく家族や友人達にもするので、クリスマス前の今はどこの店も大変です。みんなプレゼントを探して上に行ったり下に行ったり。パニックはどんどんひどくなって、イブの2、3日前が最高潮です。

 クリスマスツリーを森に探しに行くのはイブの日です。でも最近では道に迷ったり、違う木を切ってお巡りさんにつかまる人もいます。ツリーにはわらで作ったヒンメリという幾何学的な形をしたモビールを飾ります。
 イブの正午には市長が、平和と秩序を守ってキリストの誕生日を祝おうという「クリスマス・ピース」の始まりを告げます。それは2日間続き、その間犯した罪はどんなものでもより重いものになります。宣言の後には店も閉まり交通機関もとまり、家族そろってクリスマスを祝うのです。午後から夕方には、人々は亡くなった家族や友人達のお墓にろうそくを点します。雪に反射しながら輝く暗い夜の光の海はとても幻想的で、息を飲むほど美しいです。

 クリスマスディナーがすんでキャロルも歌い終わった頃、サンタがプレゼントを持ってやって来ます。(子どものいるうちではサンタを雇います)小さな子ども達はサンタが入ってくると怖がって、ベッドの下に逃げたり、両親のヒザで泣いたり。イブの夜は家族みんなが集まって、夜が更けるまで楽しみます。

 クリスマスの日、教会のミサは朝の6時に始まりますが、最近は行かないで家でゆっくりする人が多いです。1週間たつと大晦日。その日は占いの日で、サウナの火に溶かした錫を冷水のバケツの中に流し入れ、でき上がった金属の造形を壁に掛けてその影が醸し出す模様に翌年の前兆を見ます。クリスマスは1月6日の公現節の夜で終わります。
ヘルシンキ市役所前のセナータ広場にある大ツリー。クリスマスは楽しいイベントだが、祭ではなく静かに送るもの。飾りもとてもシンプルだ。
最も大きくて人気のあるストックマン・デパートは、プレゼントの買い物客でいっぱい。  
ショッピングセンター前のデコレーション。子ども達に人気。  
フィンランド
 日本で大人気のムーミン。ムーミンはフィンランドの森の住民だってこと、ご存知でしたか。フィンランドは日本よりちょっと小さな国で、人口は510万人(日本の4%強)。そのうちの1割は首都のヘルシンキに住んでいます。ヘルシンキは緑豊かな森や美しい海岸線に彩られ、「バルト海の乙女」の愛称をもつ美しい町。約450年の歴史をもつ街ですが大火で街の大半を焼失。1840年にネオクラシック様式の近代都市へと生まれ変わりました。政治・経済・文化・芸術などあらゆる面でフィンランドの中心都市であり美術や音楽鑑賞と様々な旅の魅力に溢れています。
■Reporter
 カウコ・ウウソクサさんはヘルシンキで柔術の道場を開いています。鍼灸や気孔にもくわしく、日本にも3年ほど滞在して勉強した親日家です。関西弁アクセントのちょっと面白い日本語を話します。




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