次のページ >>
<< 前のページ
Ho Chi Minh
"Hello, from the world!"は、世界の様々な街からのファッション・レポートです。
第11回は、細長いベトナムの南部にある商業都市ホーチミン。
街中にオートバイが溢れるエネルギッシュな街から、中山啓さんが写真とお便りを送ってくれました。
街のファッションスナップ Hello! from the world VOL.11
 ベトナムが南北に分かれていた頃、南部のベトナム共和国の首都が今のホーチミンで、当時はサイゴンと呼ばれていました。四季はなく、あるのは乾期と雨期だけ。乾期の今は、1年でも一番気候のいい時期で、今日の気温は日中で33度くらい。でも湿度が低いので家の中には涼しい風が入ってきて快適そのものです。朝晩はちょっと冷え込み(?)26度くらい。長袖が欲しくなります。日本で26度だと結構高い気温に感じますが、こちらに長く住んでいると"肌寒い"のです。ちなみにサイゴンっ子は26度以下になると決まって長袖を着ます。こちらへ来て市場などで冬用のジャンパーを見かけた時には、一体誰が着るのかと思いましたが…
さりげない中にひかる個性
落ち着いた大人の女性を感じます
 ベトナム人が一番楽しみにしているのがテト。旧正月です。ベトナム人はこのテトを首を長くして待ち、その期間は心からゆっくりします。今年は1月22日に始まりました。田舎から都会へ出稼ぎにきている人たちは、正月前からおみやげを買い込み田舎へ帰ります。長い人で3週間。あれほど人々で賑わっていた市場も人っ子一人居なくなり、街は閑散とします。
 そんな静かな街で会ったのがこのチャンさん。27歳の会社員で、サイゴン生まれの生粋のサイゴンっ子。パソコンが好きで、特にエクセルが得意です。服は色の着いたものは好きではなくて、白か黒しか着ないそうです。今日も黒の7分丈ブラウスにストレートのジーンズ。ブーツカットのレングスにも気を遣います。趣味はファッション誌やファッション関係の新聞を見ること。アクセントは右手に持ったゴブラン織りのバッグ。シルバーのネックレスやブレスレットが黒いブラウスに映えて、シンプルでさりげないおしゃれが素敵です。


チャンさん
ストレートパーマをかけた美しいロングヘアは、3〜4ヶ月に一度カットするそうです。モノトーンしか着ないチャンさんには、オレンジがかったカッパー系の明るいカラーが、彼女の個性を引き立てるようです。
※画像をクリックすると拡大されます。
チャンさん
ハンさん
真っ白のブラウスが
乾いた空気のなかでいっそう輝きます
 公園で会ったのは23歳のハンさん。サイゴンの日本企業に勤めている会社員です。故郷はカンボジアに近い町で、一年に2〜3度くらい帰郷します。テトと親類の集まりなどにでるためです。もちろん今年のテトも実家に戻り、家族や親戚の人たちと一緒に楽しく過ごしました。趣味はあまりないそうですが、ファッション誌などを見るのが好きで、カラオケで唄を歌うこともあります。
真っ白の長袖ブラウスは前後にタックの入ったニートなもので、グリーンがかったベージュのパンタロンとともに、彼女の清楚で優しそうな雰囲気にぴったりです。彼女の場合も、やっぱりバッグがアクセント。柔らかなカラーコーディネートは、この季節の町にぴったり合ってるような気がします。
 正月は3日間だと思っていましたが、今年は5日間でした。サイゴンなどの大都会は地方から出てきている人が多いので、いつも元気に掛け声をかけて売り歩いていた八百屋さんやパン屋さんもみんないなくなって、寂しかったのですが、1週間たってそろそろみんな戻り始めています。サイゴンで一番大きなデパートも27日から営業開始。街はもとの賑わいを取り戻しました。ただ正月を目指して来た観光客は、観光名所も街のショップもことごとく休みで"ガッカリ"したことと思われます。
ハンさん
センターで分けたミディアムロング。少しだけ入ったレイヤーが自然な毛流れを作り、彼女のフェイスラインを優しく包んでいます。
※画像をクリックすると拡大されます。
 
about food

【 正月風景1】
新年を迎える5〜6日前から開催される"花市"。サイゴンのテトはこの花市から始まります。また街のあちこちにある市場も人々でごった返します。と言うのも元旦から3〜4日間は、市場を含めて全ての商業活動が停止するからです。そういえば昔の日本もそうでしたよね。

花市は正月も続きます
【バインチュン】
路上の市場で売られているバインチュンです。ベトナムの正月料理のひとつで、豚の脂身を青豆の粉ともち米で包み、更にそれをバナナの葉で包んで蒸しあげた保存食で、今年は"ダムセン公園"と言う組織がギネスに挑戦とばかりに長さ3.5m、直径0.8m、重さ2トンと言う巨大なモノを作りました。使ったもち米750kg、青豆100kg、豚肉70kg、バナナの400kgと言うしろもの。残念ながら写真はありません。
【クレセントストリート】
四季のないベトナムで雨期と乾期で変わるモノと言えば"クダモノ"があります。路上には普段から至るところでクダモノが売られていて、特にお正月にはどこでもスイカの山。というのも、ベトナムでは赤と黄色は縁起の良い色(何しろ赤い色は幸せの色)なので、スイカの赤と黄梅の黄色が大事な色となります。
【 正月風景2】
これはどちらも正月に撮った写真です。正月は家族で着飾って街へと出かけます。すごいオートバイだと思うでしょうが、普段はもっと多いのです。初めてサイゴンを訪れた日本人は、まず道を横断することができません。
ホーチミン(サイゴン)
 インドシナ半島の東側に位置し、日本と同じように南北に延びた国ベトナム。首都は北部のハノイですが、活気があるのは商業都市のホーチミンで、ハノイからの出稼ぎに来るくらいです。1975年の解放前まではサイゴンと呼ばれていたので今でもそう呼ぶ人が多く、人口は480万人を超えています。経済の発展とともに日々変化を続ける活気溢れる街です。

■Reporter
 中山啓さんは在ベトナム9年。長年勤めた映像関係の会社をリタイアした後、単身ホーチミンに渡り、得意のベトナム語を駆使して様々な仕事に挑戦。フーコック島やニャチャンでは釣りやレジャーのガイドも勤める、とっても元気なおじさまです。





<< 前のページ
次のページ >>