次のページ >>
<< 前のページ
Montreal
"Hello, from the world!"は、世界の様々な街からのファッション・レポートです。
第10回は、カナダ最大の商工業都市で港湾都市でもあるモントリオールから、
熊本直美さんが写真とお便りを送ってくれました。
街のファッションスナップ Hello! from the world VOL.10
 トロントに次いでカナダで2番目に大きな都市モントリオールは、もともとローレンス河の中洲の島。都会にもかかわらずその真ん中にはモン・ロワイヤルと呼ばれる小高い丘があり、街の中でもアウトドアが楽しめます。日本と同様に四季がありますが、真冬の今、1日の気温はほとんどマイナスで、時には-26、7度に落ち込む時さえあります。(夏は38度まで上がったりするんですよ)そのため、地下鉄・バスなどの市内交通機関が発達していて、地下道(ショッピングモールなど)も約30km網羅されています。ちなみに今朝は-19度で、お昼過ぎでも-11度でした。
ダークブラウンにトルコブルー、そしてオレンジに
イエロー絶妙のカラーコーディネートが
マルチ・エスニックを際だてます
 モントリオールはフランス語と英語が主要言語ですが、50以上の人種と言語が飛び交う移民の都市なので、各国の民族衣装をお構い無しに着ている人々の姿が町中で見られます。写真の女性はヴァジニ・シェヴァリエさん、23歳。ビジュアル・アート専攻の学生で、ケッベク市で生まれ現在はモントリオールに住んでいます。日本に3ヵ月滞在してモデルをしていた経験もあり、彼女のファッションからは、南米、ヨーロッパなどたくさんの海外旅行で身についた、マルチ・エスニック的感覚がうかがわれます。色彩感覚もさすがアーティストといいたい!ほど。 ダークトーンのウールのコートにトルコブルーのワンピース、フロントの花模様とスカーフの色を合わせたアクセントカラーが彼女の個性をひきたてていて、とっても素敵ですよね。
 彼女は現在、古着を使ってマンダラを制作中で、将来の夢はと聞いたら、「調和をたくさん見つけていくこと」と言っていました。精神世界やアートセラピーにも興味があるヴァジニ。外見のみならず、内面もどんどん素敵な女性に磨かれてゆくことまちがいなし!ですよね。
 ちなみにモントリオールでは、自然や調和を大切にするという仏教に興味のある人が増えています。輪廻転生やカルマなど、日本人の私よりこちらの人の方が良く知っていたり。チベット、ベトナムなどの寺院もぽつりぽつり増えてきています。

アンナ・ガデリーさん
ミディアムロングのヘアを無造作にスカーフで巻き込んだヴァジニ。エスニック感がたまらなくおしゃれです。ヴァジニの横の果物はみんな量り売りで、1パウンド(約500g)99セントくらい。モントリオールでは夏のベリー類がとってもおいしいですよ。
※画像をクリックすると拡大されます。
アンナ・ガデリーさん
深いブルーのシンプルな装いに
ブラックヘアに入れた赤いメッシュが
アクセントを与えます
 次はアンナ・ガデリーさん、21歳。彼女はロシア系カナディアンで、モントリオールのウエストモント地区の高級ブティック街にある"ファニー・オヴ・ウエストモント"(モントリオールでも指おりのエステティックサロン)でヘア・スタイリストとして働いています。紺色のジップアップ・シャツにストレートのジーンズは、シンプル・シックな中に働く女性のパワーを感じさせますし、アクセサリーはピアスだけというのも一層彼女の美しさを引き立てているような気がします。
 この前-26度になった日、室内にこもっている方が良さそうだったので、私も"ハーフディー"というサービスを受けてきました。これは朝食か軽食、ドリンク類がつく4時間のコースで、スェーデン式マッサージ(リラックスできる音楽に合わせてオイルをつかって全身をスムースに撫でる)からスタート(45分位)。アロマセラピーのジャグジーバスでしばらくゆっくり体をリラックス(20分位)した後、フェイシャルマッサージ。顔から肩へマッサージしながら、スティームや水分補給クリーム、パックやオゾン電波を顔に、さらに脂肪とりもしてくれます(45分位)。その後、ヘァトリートメント(ヘァマッサージも同時に)かメイクのどちらかを選び、終わったらブローしてもらいます。最後に手のマッサージとマニキュアでフィニッシュ。おかげでお肌はつるつる、全身もリフレッシュしました。これで209$(約18000円)でしたが、日本と比べていかがですか?
アンナ・ガデリーさん
アンナのヘアはモントリオールで今流行中のメッシュ。大胆な赤のラインが、彼女のキリッとした表情の強さにマッチして素敵です。さりげないジーンズの深いブルーに彼女の赤く染めた髪が映え、彼女のセンスが感じられます。
※画像をクリックすると拡大されます。
 
about food
 食べ物は移民の都市だけあって、フレンチ、チャイニーズ、イタリアンはもちろんのこと、ベトナム、タイ、アラブ、グリーク、エジプト、アフリカン、ベジタリアン、そして日本食もただいま大ブームです。さらにケベック州の物産(自然からとれた物の瓶づめなど)なども非常にポピュラーで、毎日外食しても飽きることがありません。
 モントリオールっ子に人気があるのがレストラン・マルシェ。ビジネス街の中心、プラス・ビルマリー(31階建ての高層ビジネスビル)の中にあります。ここはレストランの中に色々な国の屋台が並んでいるという変わったスタイルで、マルチ・エスニックのモントリオールらしいですよね。各屋台の前に行くと目の前で料理してくれます。そして、入り口で手わたされた紙に、それぞれスタンプを押してもらい、食事後、出口で精算します。ここでのお勧めはブイヤベース。15分位待たされますが、魚貝類がふんだんに入ってとってもおいしいです。
【 レストラン・マルシェ】
エスニック料理の屋台レストラン。年齢性別を問わず人気。
【マギルストリート】
ビジネスの中心地であり、プラス・ビルマリーから道の奥にはマギル大学とモン・ロワイヤル山が見える。その道なりにはいつも素敵なライトアップや写真などの展示物があり行き交う人々の目を楽しませてくれる。
【クレセントストリート】
典型的モントリオールの煉瓦造りの風景で、1800年代の建物にたくさんのレストランやバーが入っている。夏のF1レースの時期にはテラスもオープン。コンサートなどたくさんのイベントがある。
 
■ モントリオール
 モントリオールのあるケベック州はカナダ最大の州で、日本の4倍の広さに10分の1の人が暮らしています。またカナダ唯一のフランス系の州でもあり、特にモントリオールはフランス語圏ではパリに次ぐフランス色のつよい街として、公用語もフランス語が使われています。そんなわけでここ20年来フランス語の住民と英語系住民の間に様々な対立がありケベック州の独立問題にまで発展しています。

■Reporter
 1996年に永住権を取得し、現在モントリオール在住の熊本さんは、日本にいたころからグラフィックデザイナーの仕事をしていて、モントリオールでも同じ分野で活躍中です。エコロジストで趣味はヨガ、瞑想、山歩き。「ケベック人のモットーである“Joie de vivre(人生を楽しむ)”で、遊びも仕事も楽しみながら生きていきたい」そうです。





<< 前のページ
次のページ >>