【映画と舞台が同時に誕生】
元スペイン国立バレエ団芸術監督であり伝説的フラメンコ・ダンサーであるアイーダ・ゴメスは、自身の舞踊団を旗揚げするにあたって、その最初の作品にオスカー・ワイルドが書いた悪夢を思わせるような一幕劇「サロメ」を選びました。そしてその演出を舞踊映画では世界的第一人者、カルロス・サウラに依頼。サウラは舞台と平行で映画を制作することを提案し、舞台と映画とが同時進行で作られることになりました。
カメラは「サロメ」のリハーサル現場に入り込みます。張りつめた緊張感、流れる汗、床を踏みならす靴音…衣装のペドロ・モレノや音楽のロケ・バーニョスの厳しい目が舞台に注がれます。しかしそこに立つのは、サウラ自身ではなくペレ・アルキリュエ扮するサウラ監督。ドキュメンタリーのようでいてフィクションというサウラ独特の手法で、現実と幻想が交差する映画「サロメ」が誕生。02年、モントリオール映画祭芸術貢献賞を獲得しました。
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