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Dublin
“Hello, from the world!”は、世界の様々な街からのファッション・レポートです。
第26回は、イギリスの北にあるエメラルドグリーンの島、アイルランドから
山下直子さんが写真とお便りを送ってくれました。
街のファッションスナップ Hello! from the world VOL.26
 90年代前半より、“ケルティック・タイガー”と呼ばれる、目覚しい経済成長ぶりが注目されるようになったアイルランド。人口の半数が27歳以下の若者というアイルランドの首都ダブリンは、伝統と若者のパワーがミックスする、エネルギッシュで魅力的な都市です。「一日のうちに春夏秋冬、四季がある」と言われるように、変わりやすいお天気が特徴。この日は、夏の最後の力を振り絞るように、真っ青な青空がしばしダブリンの街をおおってくれました。まだ日も高い、さわやかなダブリンの夕方よりレポートです。
カーキジャケットにブラックジーンズ
ロールアップした裾から覗く黒いブーツと
真っ赤なサックがポイント
 街の中央を流れるリフィー川は、ダブリン1000年の歴史を見つめてきたこの街のシンボル。その川に時々目をやりながら、ウォークマンを耳にさっそうと歩いていたのが、25歳のセリーヌ・マグワイアさん。公務員だという彼女は、仕事が終わり帰宅途中。一見何でもないカーキのトップと色落ちしたブラック・ジーンズですが、裾をロール・アップしてスエードのブーツと合わせただけで、ぐっとおしゃれな印象です。長め丈のジーンスにちょっと飽きてきたダブリンでは、特に新鮮な着こなし。髪の色と同じ黒をリフレインさせたり、赤のザックで色を入れるなど、カジュアルですが、さりげないところに気を配ったおしゃれが目を引きました。
セリーヌ・マグワイアさん
ナチュラルウェーブのミディアムレイヤー。6,4で分けた前髪やダークブラウンのスパイラルカールが、彼女の彫りの深い顔立ちを引き立てます。
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セリーヌ・マグワイアさん
ポーラ・フィンレイさん
オレンジにカーキ、
パフスリーブにワークパンツ
対照的な組み合わせがとってもイイ感じの
アダルトカジュアル
 変わってこちらは、ダブリン−華やかな歩行者通り、グラフトン通りの脇にある、ちょっとポッシュなパブ。そこで一際目立っていたのが、オレンジ色のトップが良く似合うポーラ・フィンレイさん。かつては黒っぽい色ばかりが目立ったダブリンのファッションも、“ケルティック・タイガー”以降、カラフルな色が目に付くようになってきました。ショップのマネージャーとして日々店頭に立つという29歳の彼女は、おしゃれには特に敏感。袖がふくらんだ女の子らしいT-シャツに、カーキのパンツとスニーカー、ポニーテールで辛口を効かせたところはさすがです。T-シャツのネックに添ったシルバーネックレスもおしゃれだと思いません?この日は、仕事帰りに友人たちと待ち合わせ。夏の名残りの日光を楽しむように、オープンテラスで歓談中でした。
ポーラ・フィンレイさん

ミディアムロングのストレートヘアをバックで束ねたスッキリとしたスタイル。ちょっと厚めの前髪が彼女にぴったり。
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about pub
【 デイビー・バーン 】
 ダブリンを代表する作家ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』に登場するパブ「デイビー・バーン」
デイビー・バーン
【 若者文化の発信地テンプル・バーのパブ 】
 テンプル・バー裏話・・・1960年代、老朽化した建物が並ぶこの地域は、バスの停留所として一掃される予定でした。ところが実行が遅れているうちに、古くて家賃の安い建物にアーティストたちが住み着くようになり、そこは若者の芸術村のような様子に・・・。政府はプランを変更、テンプル・バーは80年代以降、ミニシアターやギャラリー、パブやレストランが集まるエリアとして残ることになりました。
テンプルバー
テンプルバー テンプルバー
【 ハーバーマスター 】
 ダブリンのドックランドのメイン・パブ「ハーバーマスター」
【 裏路地のパブ 】
ハーバーマスター 裏路地のパブ
about Guinness
【 国民的飲み物、ギネス・ビール 】
 ギネス・ブックの生みの親ギネス社の正体は、ダブリンに本社を置くビール会社。1759年創業のギネス社は、現在も市内の工場で、一日に120万リットルのギネス・ビールを製造しています。真っ黒くて、ちょっとほろ苦い味のギネス・ビール。実は健康にいい飲み物と信じられています。鉄分が含まれていて疲労回復に効果がある為、産前産後の妊婦さんの飲むビールとして奨励されるのは、アイルランド人のアルコール飲みたさの言い訳!? かつては、生まれたての赤ちゃんにも「強い子にな〜れ」とティースプーン一杯のギネスを毎日口に含ませていたそうです。生まれる前からお母さんのお腹の中で親しんだ味が、ギネス・ビールなのでした。
ギネスビール
ダブリン
 水と緑とケルトの国アイルランドは人口約560万人。その4分の1が集中する首都ダブリンは、27歳以下の若い人たちが半分をしめるという若い街です。観光立国を目指す国策で、街には高い建物は見あたらず、1700年代に建てられたジョージアン様式のタウンハウスは、色とりどりのドアが町に彩りを添えています。19世紀半ばの大飢饉による人口の大流出で、世界には6000万人、アメリカには4000万人のアイリッシュ系が住むと言われています。ケネディー一家やクリントン大統領、トム・クルーズなんかもそうですね。
Reporter
 ダブリンに住んで5年、アイルランドの公認ナショナル・ガイドとして、日本からのお客様をご案内させていただいています。ツアーコンダクターとして世界60数カ国をまわったあと、吸い寄せられるようたどり着いたのがアイルランド。観光地をバスで周遊するだけでなく、この国の人々のホスピタリティーに触れていただけるようなツアー作りをしていきたいと思っています。




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