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大きな天窓から差し込む光が温かく、まるでサンルームのような明るいビルです。この代官山の裏通りにある広いビルの２階にあるのが『ＳＯＵ』。陽の光がさんさんと注ぐ開放的なサロンです。今回登場するのは、『ＳＯＵ』のオーナーであるスタイリストの関倖壱さんです。 |
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| 中学生のときに、テレビでトニー田中さんのメイクを見て、色と陰影で女性の表情が劇的に変わることにすごく感動したんです。それからメイクや美容に興味を持つようになって、当時、通っていた美容室のスタイリストさんとメイクや美容の話をするのが楽しみでした。「あそこのサロンはこういう風にしてたけど、どう違うの？」とかね。そのスタイリストさんは、中学生の僕相手にも同じ目線に立ってとても詳しく話をしてくれたので、美容室に通うのがとても楽しみでした。あるとき「メイクの仕事をしたい」と、進路の相談したんです。中学を卒業したらすぐにでもメイクの仕事をしたいという僕に「これからはメイクや美容の仕事も学歴が必要になってくるだろうし、中卒だとしんどいよ。とにかく美容学校に行って、そこでメイクかヘアに進むか考えても遅くないよ」と親身になって応えてくれたんですね。もちろん、親には相談できなかったんですが、ちょうど、僕の母親も同じ美容院に通っていたので、そのスタイリストさんを通じて自分の気持ちを母親に伝えてもらったんです。そうしたら「お母さんは、高校だけは卒業してほしいといってたよ」と。それでとにかく高校に入ったんですが、美容の仕事をしたいという気持ちは変わらなくて、それで高校を出て専門学校に入学したんです。 |
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| 専門学校を卒業してからは、７〜８店のサロンを経験しました。それこそ、小さな店から大型店、有名サロンまでいろいろです。店舗の数は多いほうだと思います。「あんな有名なところやめてもったいない」という友達もいました。もちろん、それぞれの店にいいところと悪いところがあります。若いころはとにかく技術の向上を目指してガンガンやってたんですが、たとえば大型店では数をこなすことが必要だったりしますよね。経験を重ね、店を重ねるうちに、自分の中で「こうしたい！」という考えが強くなってきて「なんか違う」という思いにぶちあたったんです。もっとじっくりお客さまとふれあって、時間をかけてスタイリングしたい、そして中学生の僕がそうだったように、髪を切るだけじゃなくて、いろんな相談ができるような場所。極端な話、用事がなくてもふらりとやってきて、スタイリストとしゃべったり漫画が読めるような場所をつくりたくて、１年半前に『ＳＯＵ』をオープンさせました。『ＳＯＵ』には「奏・想・創・総・添」の意味を込めているのですが、文字通り、人が集まり、なにかを創り、広がっていくような場所にしたいと思っています。 |
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| サロンではとにかくお客さまにくつろいで満足していただけることを一番に考えています。そのためにもカウンセリングにはじっくり時間をかけます。心がけているのは、言いたいことを言ってもらうこと（笑）。特に初めてのお客さまは、緊張しておられる方が多いので、話し方やしぐさ、言葉のリズムなんかを自分なりに咀嚼して、自分で分析し、そして対応しながら修正したりして、とにかくじっくり話し合います。もちろん、お客さまに心を開いていただくためには、自分も社交辞令や営業トークではなく、真っ正面に自分をさらけだすようにしています。そして、一人のスタッフがシャンプーから仕上げまで担当します。使っているシャンプー剤やパーマ液など、使う薬品の成分などもすべて表示し、説明しています。ささいなことからも、『ＳＯＵ』に興味を持っていただけたらと。それからスタッフがつくっている『ＳＯＵ』の情報誌があるんです。そんなに大仰なもんじゃないんですが、お客さまとのコミュニケーションツールになればいいと思っています。 |
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| 今凝っているのは、80年代の音楽ですね。クラブ系の音楽も聞いたりするんですが、やっぱり昔のロックなんかを聞くとすごく落ち着くんです。それと最近、クラシックにハマっているんです。音楽大学の発表会なんかにも出かけて行くんですよ。特に合唱が好き。声の豊かさと深さに感動しています。CDショップのクラシックコーナーによく行くんですが、ああいう場所ってスーツ着た紳士やエレガントな奥様風の人が多いんですよ。そんな場所に僕みたいなのが入っていくと、その落ち着いた空気が一瞬壊れちゃうんですが「空気壊して、ごめん！」と思いながらも、そういう空間にいる自分が好きなんです。これからの目標は大型二輪の免許を取って、SUZUKIのKATANAに乗ること。それから華道をはじめたいんです。花が好きなので、ゆくゆくは花屋もやりたいんですね。近い将来の夢は、店舗を大きくすることですが、年取ったら美容室は若手にまかせて、花屋の店先で店番をするのが夢（笑）。 |
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