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Istanbul
“Hello, from the world!”は、世界の様々な街からのファッション・レポートです。
第31回は、ヨーロッパとアジアにまたがる国際都市イスタンブールから、
井藤聖子さんが写真とお便りを送ってくれました。
街のファッションスナップ Hello! from the world VOL.31
 トルコは横に長いので、地方によって気候もかなり違います。地中海方面は11月頃まで泳げるようですが、東では先週、初雪が降ったとニュースで言っていました。以前いたカイセリの冬はマイナス21度ぐらいになり、寒いというより痛かったです。イスタンブールもここ数年冬になるとドカ雪が降り、その度に町中が麻痺してしまいます。前の冬も2回大雪が降り「ここはスキー場??」と思ったほどで、被害もすごかったです。私は6日間、家から一歩も外に出られませんでした。今年はまだそんなに寒くはなっていません。でも冬中お日様が見られないことが多いので、寒くてもカラッと晴れてくれたら気分もいいのになぁ、と思っています。
ブルゾン、バッグ、靴の朱赤が
若々しいエネルギーを感じさせます
 アイシェ・ギョルギュンさんは私の知り合いの妹さんで、地中海地方のオスマニエという町から3年前にイスタンブールに来た21歳です。お姉さんの手伝い(小さい子供が二人います)をしながら大学の受験勉強に励んでいます。よく日本人か中央アジア人に似ていると言われるそうです。
 彼女の趣味は散歩と読書です。時々うちに来て「人生観」について朝方まで語り明かしたりもしています。でも実はロマンティストなのですよ。好きな服装はスポーティな格好で、パステルカラーの服を好んで着るそうです。本当の髪の色はグレーがかった色で、今は濃くするために「ブルーブラック」に染めていると言っていました。
 若いのに料理がとても上手で一番よく作るのは「ピラウ(ピラフ)」。うちにもよく料理やお菓子を作っては持ってきてくれます。トルコではこんな暖かいご近所付き合いがまだ残っていて嬉しく思います。今は断食明けの「砂糖祭り」のために、大掃除やお客さんに出す料理やお菓子作りで大忙しだそうです。
アイシェ・ギョルギュンさん
ワンレングスのロングヘア。6、4に分けた前髪が頬を包み、優しい感じのイメージにしています。
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アイシェ・ギョルギュンさん
イブラヒム・ゲズギチさん
黒のシャツに赤いベスト
浅い色目のジーンズにピッタリのコーディネート
 私たちがよく行くべシュクタシュ(あのイルハン選手が所属しているチームのホームグランドのある町です)のタラチャカフェで働いているイブラヒム・ゲズギチ君です。22歳の彼はここで1年半働いています。出身はトルコの2回目の地震の震源地であるアダパザールで、今はべシュクタシュで一人暮らしをしています。趣味はサッカー、ポップミュージックを聴くこと、車の運転と哲学の本を読むことだそうです。1週間に1回のお休みでは、彼女と会ったり好きなことをしていると言っていました。
 原色が好きなので、このベストのような明るい色目のものを合わせて着るそうです。トルコの男の人の眉毛は濃く、中には切り揃えている人もいるそうですが、「そんなことしたら男の沽券にかかわる」と言う人も多いです。
 カフェには日本人も何人か行っているみたいで、私たちが行くと「こんにちは」、帰るときには「さようなら」と挨拶してくれ、持ってきた時には「どうぞ」と爽やかな笑顔とともに言ってくれます。
イブラヒム・ゲズギチさん

白人男性に多い生えぎわ後退派。でもセンターに寄せた前髪が、なかなかキュートですよね。
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about Istanbul
■ラマザン(断食月)
 トルコは今、ラマザン真っ只中。そこで今日はラマザンを紹介します。ラマザンはもともと「焼ける」という意味で、断食をすることによってこの1年に犯した宗教上の罪を焼き消してしまうことができると言われています。イスラム歴の9つの月のうち9番目にあたる最後の月のことであり、その月に断食をすることから「断食月」と訳されています。今年のラマザンは10月15日から始まり、30日後の11月13日に終わります。
 断食はイスラム教徒がしなくてはならない5つの行為の一つで、「1年に29日間、太陽が上がっている間は何も口にしてはいけない」というものです。断食の目的は、「1年に1度断食をすることによって内臓を休め、洗浄するため」「飢えた人たちの気持ちを理解するため」という説が一般的であるようです。ただトルコ人がみな断食をしているわけではありません。都会では日中でもレストランは開いていますし、食べているトルコ人もいます。
 またこの間には必ず貧しい人たちに施しをしないといけないそうですし、26番目の夜は「カディル・ゲジェシ(価値ある夜)」と呼ばれ、初めてアッラーの神から人々にコーランが授けられたありがたい夜だと言われています。その夜のお祈りは、千ヶ月もの祈りに匹敵するとされています。
ラマザン・ビデ 給食用テント
【 ラマザン・ピデ 】
この写真でお店からの行列がわかるでしょうか?彼らはピデと呼ばれる丸いパンを買うために並んでいます。
【 給食用テント 】
ラマザン中、あちこちで見られる大きなテントでは、イフタールの食事が無料で振る舞われ、貧しい人たちはお腹をいっぱいにさせることができます。ただし何時間も前からすごい列になっています。
■エザン
 ラマザン中は、日没とともにイフタールという食事をとりますが、日没の時間は地域によって違うので、テレビでも「今、イスタンブールのイフタールの時間です」と言って、モスクからエザン(お祈り)の声を放送し、それを聞いて一斉に食べ始めます。レストランにいても、手をつけずみんな待っているんですよ。その後は日の出まで食べても飲んでもかまいません(アルコールは禁止)。ただしその間に食べないと、次の日没まで何も口にできないはめになってしまいますから、日の出前には家の前の道路を太鼓を叩きながら皆を起こして回る人がいます。その音は本当に大きくて、断食をしていない私も目を覚ましてしまいます。
イフタール・メニューのひとつ なつめやしの実
【 イフタール・メニューのひとつ 】
 左にイフタールのメニュー7500トルコリラ(日本円で約550円)、右に内容(スープ、肉のソテーかトルコ風ハンバーグ、サラダ、ピラフ、水)が書かれています。
【 なつめやしの実 】
 イフタールの最初に、なつめやしの実を食べるか水を飲むそうです。
■おもてなし
 イフタールに人を呼んで食事を振る舞うことも大切なことだとされています。ラマザンにはいつも、ご近所さんの家や知り合いのトルコ人の家に招かれご馳走になります。
バクラヴァ トルココーヒー
【 バクラヴァ 】
 ラマザンでなくてもトルコ人の大好きなトルコ菓子なのですが、特にラマザンに食事をお呼ばれされたときに、手土産として持って行くものだそうです。
【 トルココーヒー 】
 オスマン時代のトルココーヒーは、このように炭火で作られていたそうです。
■断食明け
 1日の断食明けには、レストランでも特別メニューが準備され、オスマン時代の料理を用意するところも多いようです。またこの期間中は、イフタールの後、家族でいろんな催しがされている場所を訪れて楽しめるようにもなっています。
催し会場 オスマン時代の船
【 催し会場 】
 たくさんの家族が訪れて楽しみます。
【 オスマン時代の船 】
 おじさんにただで乗せてもらい、20分間のハリチでのクルーズを楽しみました。
イルミネーションされたデパート 音楽隊
【 イルミネーションされたデパート 】
 アクメルケズ・デパートのイルミネーション。まるで神戸のルミナリエのようです。
【 音楽隊 】
 トルコ音楽を演奏して、みんなそれに合わせて踊ったりしていました。
イスタンブール
 トルコの北西部、ボスポラス海峡に臨む都市。アジアとヨーロッパの接点にあたり、ビザンチン文明の中心。東ローマ帝国・オスマン帝国の首都で、聖ソフィアなどイスラム建築が多い。人口約880万人(2000)。
Reporter
 井藤聖子さんは、1996年から4年間、トルコで日本語を教えた後、トルコ大学に入学、今はトルコ語・トルコ文学科の大学院生です。「そろそろ在土10年になろうとしていますが、大好きなトルコのことをもっと日本に紹介したいです」と言っています。




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