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Tel Aviv
“Hello, from the world!”は、世界の様々な街からのファッション・レポートです。
第33回は、地中海にある町テルアビブ。私たちには中東戦争のイメージが強いのですが、
現地で30年暮らす名村久子さんが、陽気で美しい、素顔のテルアビブの写真とお便りを送ってくれました。
街のファッションスナップ Hello! from the world VOL.33
 テルアビブは11月の始めの頃にはまだまだ陽射しがきびしく、夜間でも20度以上と暖かで、みんなまだ夏姿だったんですが、急に、本当にある日突然、雨が降り、秋から冬に変りました。イスラエルでは夏の間、一滴も雨が降らないので、初めての本格的な雨の到来です。雨は、まるで台風が来たみたいな雷や強風を伴う激しいもので、そのかわり一日中降り続けることはありません。そして一日にして夏のTシャツやサンダル姿から、コートやブーツ姿になってしまうのです。
 だから長袖のブラウスやカーディガンを軽く羽織って、と言ったお洒落はあまり楽しめないんですが、たまたま私がテルアビブ郊外の落ち着いた住宅街に住む知り合いの家族を訪ねた時は、どんよりと曇った、雨がいつ降ってきてもおかしくない感じの、ちょうど夏と冬の中間のような日でした。
マロンのヘアにオリーヴ・グリーンのカーディガン
シックなカラー・コーディネートが
大人の女性を際立てます
 テルアビブ郊外の住宅街に住んでいるアドヴァは三児の母で、保育園に勤めているかたわら、家でジュエリーを手造りしています。彼女の今日、着ているのは、白いタンクトップの上にオリーヴ・グリーンのカーディガン、同系色のビーズで刺繍されたバッグに、細いビーズのレーンが何本も絡まったネックレス(もちろん、彼女の作品です)。それからプリントのパンツに、なぜかここだけトルコブルーの靴が不思議とアクセントになってます。でもこんな格好ができるのもほんの僅かな期間だけ。雨が降ると、アッと言う間に冬らしくなってしまうんです。
 アドヴァはイスラエル生まれですが、彼女の中にはイェーメン系の血も混ざっていて、もともと彼女の髪はカーリーヘアー。こざっぱりとして、それでいてフェミニンな大人の雰囲気がありますよね。
アドヴァさん
ナチュラルウェーブのヘアに自然な感じでレイヤーを入れたショート・スタイル。少し長めの襟足とフェースラインにふんわりとかかる大きめのカールが、アダルトフェミニンなイメージ。マロン系に染めた髪が知的な印象を与えます。
※画像をクリックすると拡大されます。
アドヴァさん
イヴさん
黒一色のハードファッションに
ブーツからのぞく黒白ストライプが可愛らしさをプラス
 イヴは16歳の高校生で、アドヴァの娘です。お母さんと違って真っ直ぐな長い髪の持ち主で、それを真ん中から分けて垂らしただけでサマになっちゃうのは、年頃の女の子だからこその独特の雰囲気でしょうか。身体の線にピタッとフィットしたちょっとシースルーの黒いブラウスは、フロントの刺繍とチェーンがとってもおしゃれ。そしてやはり黒の金具がいっぱい付いたヒップダウンのミニスカートを着ています。それに黒と白の横縞のハイソックスに黒いブーツ、とちょっと突っ張った格好は、ヤング・ファッションの決め手みたいです。彼女が右手にしているビーズが何レーンも絡まったブレスレットは、もちろんお母さんの作品です。
イヴさん

ワンレングスのロングヘア。センター分けの前髪が若さを感じさせます。昔から欧米の女の子に最も人気のヘアスタイル。
※画像をクリックすると拡大されます。
about Tel Aviv
〜テルアビブの町並みを少し紹介しましょう。〜
【 ナフラット・ベンヤミン通り 】
 南テルアビブのナフラット・ベンヤミン通りは、もともと地味な生地屋さんが並ぶ半分問屋街みたいなところでしたが、10年くらい前から毎週火曜と金曜は歩行者天国になり、石畳の道の真ん中に思い思いの手造りグッズを売る屋台が立ち並んで、市場みたいな感じになって賑わうようになりました。屋台を出すには、ちゃんとテルアビブ市に申請してライセンスを取って開業します。よく売られているのは、カラフルで色んな形のキャンドル、手造り石鹸、自分で彩色した額、お皿、人形、などなど。
ナフラット・ベンヤミン通り ナフラット・ベンヤミン通り
【 テラスカフェ 】
 ナフラット・ベンヤミン通りの歩行者天国のひやかしで歩き疲れたら、近くのテラスカフェで一休みしましょう。テルアビブには、パリの裏町にあるみたいな感じのテラスカフェがたくさんあります。真夏の暑い時でも、テルアビブっ子たちは冷房の効いたカフェの室内より、外のテラスに座るほうが好き。冬も(たまーに雨の時以外は)陽射しも暖かくて、テラスカフェは一年中人気があります。午前中なら遅めの朝食、お昼時ならたいていのカフェは、食べるのが大好きなイスラエル人たちのために、大盛りのランチを用意してます。もちろんコーヒー一杯で友達と長話でもOK。イスラエル人はカプチーノが好きです。
テラスカフェ
【 プロムナード 】
 テルアビブって地中海に面してるんです。砂浜のこちら側は、テルアビブの北から南まで続く、波模様の歩道が洒落たプロムナードになってます。撮影した日はこれから雨かも、と言うことで人もまばらですが、天気の良い日、特に週末の金曜や土曜の午後は散歩する人たちで賑わいます。
プロムナード
イスラエル
 イスラエルは緯度でいうとちょうど九州くらいの位置にあり、全体で四国ほどの大きさの国です。1948年にイギリスの委任統治終了とともに共和国になり、中東紛争の焦点になっています。テルアビブの町は、近郊のベッドタウンも含めると人口100万以上の、イスラエルで一番大きな都市で、経済、文化の中心になっています。
Reporter
 東京生まれの名村久子さんは、イスラエル文化に憧れて移り住み、もう30年もテルアビブで暮らしています。日本では、テロ攻撃の的になるちょっと恐い街という印象なのですが、実際はとっても活気のある陽気で美しいところだとか。名村さんは現在、指圧や霊気などを学びながらリフレクソロジストとして働いています。




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