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Cancun
“Hello, from the world!”は、世界の様々な街からのファッション・レポートです。
第38回は、北米の南、ユカタン半島の西端にある南北23キロにわたる
細長い真っ白な珊瑚の島、カンクンからユキ・ロドリゲスさんが、写真とお便りを送ってくれました。
街のファッションスナップ Hello! from the world VOL.38
 ターコイズブルーの海水と白砂のコントラストが美しいカリブ海のお蔭で、日本人観光客も増えつつあるカンクンは、亜熱帯地域に属してはいますが、12月から3月頃までは大変涼しく、また湿気もないので肌寒いと感じることも多々ある気持ちのいい日が続きます。とはいえ、冬でも晴天の日の日差しは強いので、屋外ではノースリーブで闊歩する女の子達がいっぱい。カンクンは、いわゆるホテル・ゾーンと地元の人達が生活しているダウンタウンの2つに大きく分けられます。リトル・マイアミのようなホテル・ゾーンに比べ、地域色の濃い、アットホームな雰囲気が漂うダウンタウンは、今、観光客の散策スポットになっています。
グリーンのペズリー柄ミニ・ドレスは
ターコイズブルーの海に素敵にマッチ
 高校1年と3年の2人のお嬢さんを持つメキシコシティ生まれのマリア・フランコ・カスティジョンは、45歳のキャリア・ママ。現在、化粧品会社のアドバイザーとして仕事をしていますが、なんと週末は音楽家のご主人ホセ・ルイスと一緒に、ホテル・ゾーンのショッピング・モールにあるレストランでロックを演奏しています。彼女の受け持ちはベース・ギターとコーラスです。
 どんなに忙しくても、適度な運動と野菜をいっぱい使った油少な目の食事作りを心がけており、それが若さと美貌を保つ秘訣なんでしょうね。1日3度の食事時間はいつも必ず家族4人で一緒に食べるそうです。趣味は演劇や音楽、美術鑑賞ですが、文化がまだまだ不足しているカンクンではその趣味もままならないと嘆きます。でも、自然には恵まれているので、夏場は仕事の合間を縫ってカリブ海に泳ぎに行くそうです。
 おしゃれは大好きという彼女。ファッションにしても、歳だからといって、その年令相応の奥様然としたスタイルの服を身に付けるのは好きじゃないそうです。流行も取り入れるし、若い女の子達の服装にも興味はあるけれど、何と言ってもそれを自分流に着こなすことが彼女のおしゃれの基本。今日の服は、ちょっと光沢のある生地で作られたペーズリー模様のミニ・ドレス。グリーン系の色が落ち着いて見えます。細い肩紐も素適。こんな解放的なデザインのドレスを何の違和感もなく着こなしてしまうマリアは若々しくて、かっこいい45歳ですね。
マリア・フランコ・カスティジョンさん
彼女が美容院に行くのはカットの時だけ。普通は洗いっぱなしのナチュラル・ヘアーをそのまま肩に垂らしたり、頭の上で無造作に束ねたりしています。気分と雰囲気を一新させるために、髪を色々な色に染めて楽しむことが好きだとか。今日はブロンドの髪ですが、そういえば、先々週はワインレッドでしたっけ。
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マリア・フランコ・カスティジョンさんマリア・フランコ・カスティジョンさん
エストレージャ・エランダリ・フローレス・アルカンタラさんエストレージャ・エランダリ・フローレス・アルカンタラさん
ブラウスとパンタロンに並んだ
小さなホールたちがエレガント・モノトーンに
チャーミングなセクシーさをプラス
 彼女の名前はエストレージャ・エランダリ・フローレス・アルカンタラ。エストレージャとはスペイン語で夜空に瞬く星のこと。そのお星様という名前を持つ彼女は、大きな褐色の瞳が魅力的な16歳の高校の2年生です。趣味は、小さい頃から習っているクラシック・バレエ、音楽鑑賞、絵を描くこと、そして友人達との外出だそうです。彼女の家庭はベジタリアンで、ソフト・ドリンク類も一切口にせず、果物を使って作る飲み物や普通の飲料水を愛用しているとか。肌がきめ細かく美しいのは、きっとその効果の現われですね。
 おしゃれには気を配っているそうで、自分の趣味プラス自分に対する他人の目も考えながら着るものを選ぶそうです。決して保守的ではなく、普通とちょっと違っていて、なおかつセクシーなタイプの服がお好み。インド風のドレスもお気に入りのひとつだそうです。今日の衣装は、黒のブラウスと白のパンタロンというモノトーンの組み合わせ。地味な色なのに平凡に見えないのは、パンタロン前面のウエスト部分から裾まで等間隔にあいている小さな穴がアクセントになっているから。ブラウスのほうもV字の胸元からおへそまでループ止めなのか、素肌がちょこっと見えて品の良いセクシーさを演出しています。そして、海岸リゾート地ならではの冬場のサンダル履き。すべてをさりげなく身に付けてはいますが、センスの良さが光る着こなしだと思いませんか?
エストレージャ・エランダリ・フローレス・アルカンタラさん

昔から欧米の女の子達に一番人気の、ストレートなワンレングスのロングヘアを真ん中から分けた髪型。とても彼女に似合っています。彼女もマリア同様、美容院に行くのはカットの時だけだそうです。大きめのピアスがこの髪型を引き立てていますね。
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about Cancun
【 プラサ・ラス・アメリカス 】
 カンクンのダウンタウンで一番人気のあるショッピング・プラザがここ、ラス・アメリカスです。景観を損ねないようにという配慮から、カンクンに高層ビルは殆どありません。このプラザも1階建てで横長です。老若男女を問わず、いつも人でいっぱい。このプラザには、大きなスーパー、映画館、レストラン、ブティック、デパート、インテリア・ショップ、ペット・ショップ、CD・DVDショップ、不動産屋、本屋、インターネット・カフェ、ATM等、何でも揃っています。
プラサ・ラス・アメリカス
【 プラザ・ラス・アメリカスの中のブティック 】
 その中のブティックのひとつで、今流行のファッションをゲット!細い肩紐のキャミソール・ドレスはカンクンの定番。色使いも綺麗で、とてもフェミニンな感じです。
プラザ・ラス・アメリカスの中のブティック
【 屋台のタコス屋さん 】
 メキシコの食卓に毎日乗るわけではありませんが、タコスはこの国を代表する食べ物のひとつといえるでしょう。日本でいう「駅の立ち食いそば」的な感覚といったらいいのかな。焼き肉やチョリーソなど食べたい具を注文すると、メキシコの主食であるコーン・トルティージャの上に調理したての具がいっぱい乗って出てきます。あとは屋台の手前にずらっと並べて置いてある細かく切った野菜類、香草シラントロ、数種類ある自家製の辛いソース(サルサ・ピカンテ)、そしてレモン等を、食べる人が好き勝手に具の上に乗せるとタコスの出来上がり。フーフーしながら食べる屋台のタコスは絶品ですよ!
屋台のタコス屋さん 屋台のタコス屋さん
【 ヤチラン通り 】
 夜ともなると大勢の外国人観光客でごった返すダウンタウンの繁華街。カンクンの新宿とでも申しましょうか。ほとんどが食べ物屋さんと飲み屋さんですが、ディスコやカラオケ・ルーム、ホテルなどもあります。さきほどのタコス屋さんはこの通りの一角に店を出しています。
【 ビルヘン・デ・グァダルーペ − 褐色のマリア様 】
 メキシコは敬謙なるカトリックの国。マリア様もインディオ(メキシコの土着民)の肌の色をした褐色です。マリア様は一番上のガラスの中に収められ、住民から大切に扱われています。飾り方はいろいろですが、街の至る場所でこんな風景を目にします。
ヤチラン通り ビルヘン・デ・グァダルーペ − 褐色のマリア様
【 メルカード28の民芸品屋 】
 メルカードとはマーケットのこと。庶民の憩いの場所でもありますが、この写真のメルカード28には観光客もよく訪れます。その中の民芸品屋さんで、色とりどりの糸で編んだハンモックを見つけました。マヤ人達の睡眠用必需品なんだそうです。眠っていて、落っこちる心配はないのかしら?
【 メルカード28のお菓子屋 】
 カンクンでも現代風のおいしいケーキは売っていますが、ここに登場するお菓子は、昔ながらの味のもの。日本人のデリケートな舌には少し甘すぎると感じるものもあるかもしれませんが、素朴な味が中々おいしいんです。
メルカード28の民芸品屋 メルカード28のお菓子屋
【 プラサ・ボニータ 】
 メルカード28のお隣りにあるショッピング・プラザ。色分けして塗ってある各建物の外壁がメキシコっぽさを演出しています。
プラサ・ボニータ
【 カリブ海 】
 カンクンといえばカリブ海。私が初めてこの地を訪れたのは、1985年の6月のことでした。あの時の海の色が20年近く経った今もまだ変わらずに存在していることに、たまらない感激を覚える私です。これからもこのターコイズ・ブルーの水の色が変わらないことを願ってやみません。
カリブ海
カンクン(メキシコ)
 広大かつ神秘的なユカタン半島の東海岸に位置するカンクンは、今では年間250万人以上の観光客が訪れるメキシコ随一のリゾート地であることはもちろん、治安の良さから外国人も含め多くの人達が住むために選んだ好ましい都市のひとつになっています。メキシカン・カリブの大切な宝物は、立ち並ぶ豪華ホテル、美しい海岸、そして信じがたいほど膨大な数にのぼるマヤの遺跡です。
Reporter(ユキ・スズキ・デ・ロドリゲス -Yuki Suzuki de Rodriguez)
 7年前にメキシコ人の連れ合い、娘と共にカンクンに移住してきました。5年ほど前からスペイン語の翻訳を仕事としています。それまで住んでいた東京とはすべての面で違い(当然だ!)、ここにやってきた当時は、そのギャップに悩み、間違った選択をしてしまったんじゃないだろうかと後悔らしきものもしたはずの私でしたが、そんなことを忘れてしまったかのように、のんびりと怠惰な生活にどっぷり浸かって、自由気ままに生きております。人間という生き物は悪い習慣を取り入れてしまうのに、さほど苦労する必要ないようですね。




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