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Dublin
“Hello, from the world!”は、世界の様々な街からのファッション・レポートです。
第40回は、イギリスの北にあるエメラルドグリーンの島、アイルランドから
山下直子さんが写真とお便りを送ってくれました。
街のファッションスナップ Hello! from the world VOL.40
 北緯51〜55度という高い緯度にありながら、暖流の恩恵を受けるため、年間を通して豊かな緑におおわれているアイルランド。今年のアイルランドの3月は、平年より低めの気温で始まりましたが、セント・パトリック・デー(3月17日)のお祭りを境に、ようやく春らしい陽気になってきました。サマー・タイムも始まり、春の陽気に浮き立つダブリンの街よりレポートです。
抑えた色合わせにラメ入りベルトをプラスして
ちょっと華やかなナイト・ファッション
 夜になって、パーティー会場をパブへ移そうと外に出てみました。賑やかな通りで、そのスタイルの良さと洗練されたファッションで一際目立っていたのが、シュネード・カバナ(Sinead Kavanagh)さん。大手コーチ会社に勤める24歳の彼女は、友人との約束の場所へ向かう途中とのこと。白のタンクトップと黒のボトムという、ごくベーシックなスタイルに、グリーンのラメ入りベルトでアクセントを付けて、華やかな印象に。ラメ入りのアイテムは、一歩間違うとけばけばしい印象になりかねないのですが、ダークベージュの地味目のカーディガンで派手さを押さえたところが、おしゃれ上級者です。グリーンのスエードのパンプスをベルトとリフレインさせ、アクセサリーはシルバーで統一。シックな装いが、彼女のすらりとしたスタイルをいっそう効果的に見せています。
シュネード・カバナさん
 ストレートパーマでボリュームを抑えた、ボブスタイルのミディアムロング・ヘア。毛束をつけた前髪と軽い動きの毛先が、若々しいニュアンスをプラス。
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シュネード・カバナさん
キース・マックガールさん
水色にダークグレイ
シンプルな装いは、カラーコーディネートがポイント
 ダブリン中心部のモダンなアパートメントで開かれた、友人同士のホームパーティー。バルコニーでポーズを決めるのは、26歳のキース・マックガール(Keith McGirl)さん。アイルランドの若者に人気の職業、ITコンサルタントだという彼のこの日のファッションは、さわやかな水色のTシャツと、ダークグレイのコットンパンツ。一見何でもないように見える装いですが、ジーンズが黒ではなく、水色と相性のいいダークグレイをボトムに持ってきたところに、彼のファッションへのシンプルなこだわりが感じられます。足元はカーキのデッキシューズ。このトラディッショナルなアイテム一つで、全体の印象がぐっとシックに。Tシャツの襟元に沿うようにさりげなくつけたビーズのチェーンは、日本人のガールフレンドからのプレゼントだそうです。
キース・マックガールさん

 全体に短く刈り込んだベリーショート。前髪は毛流れの方向に抑えながら、生え際をちょっと立たせた感じにジェルで仕上げ。爽やかなイメージが彼にぴったり。
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about Dublin
【 春を告げる、セント・パトリックス・デー 】
 3月17日は、アイルランドの守護聖人・聖パトリックの日。聖パトリックは、5世紀にアイルランドにキリスト教を布教した聖人です。現在、国花に指定されているシャムロック(小さな三つ葉のマメ科の植物)の三つの葉を、父と子と精霊にたとえて三位一体(トリニティー)を説いたのも、聖パトリックが最初だとされています。
 聖パトリックス・デーのお祭りは、300年ほど前に、アイルランド人移民の多いアメリカで始まりました。アイルランド人を軍隊に勧誘するために、アイルランドの守護聖人の日にパレードを行ったのが始まりとされており、ニューヨークの聖パトリックス・デーが本国以上に盛大なのは、そこが発祥地だからです。
 また、近年、日本でもこのお祭りが開催されるようになってきましたが、今年は、アイルランドの大統領が日本の聖パトリックス・デーに向けて来日、日愛の親睦のために原宿でのパレードに参加なさいました。原宿以外にも、愛知万博の関係で名古屋でも聖パトリックス・デー・パレードがあったようです。そうそう、愛知万博にはアイルランドも参加していて、中にあるハイクロスのレプリカは、昨年12月に製作中のものをダブリンで見ました。一つ、建物の中に入りきらないのがあって、天井をこわして作成していました!ドームの内側をアイルランドの空にするとかで、日本からの関係者の方が、凸型のレンズの付いたカメラで空の撮影をしておられましたよ。
 首都ダブリンでのパレードが公式に行われるようになったのは、ほんの10年前から。さわやかな青空のもと、今年も盛大なパレードが行われました。高度成長期を迎えて国全体が豊かになったことが、ここにも象徴されており、名実共にアイルランドの「春」を伝えるのが、聖パトリック・デーのお祭りなのです。
年々華やかになってきたパレード。 年々華やかになってきたパレード。
▲年々華やかになってきたパレード。
アメリカからも多くのバンドが参加します。 モーターバイクに乗った妖精レプラコーン。
▲アメリカからも多くのバンドが参加します。 ▲モーターバイクに乗った妖精レプラコーン。
ダブリン
 水と緑とケルトの国アイルランドは人口400万人弱。その4分の1が集中する首都ダブリンは、27歳以下の若い人たちが半分をしめるという若い街です。観光立国を目指す国策で、街には高い建物は見あたらず、1700年代に建てられたジョージアン様式のタウンハウスは、色とりどりのドアが町に彩りを添えています。19世紀半ばの大飢饉による人口の大流出で、世界には6000万人、アメリカには4000万人のアイリッシュ系が住むと言われています。ケネディー一家やクリントン大統領、トム・クルーズなんかもそうですね。
Reporter(山下直子さん)
 ダブリンに住んで5年、アイルランドの公認ナショナル・ガイドとして、日本からのお客様をご案内させていただいています。ツアーコンダクターとして世界60数カ国をまわったあと、吸い寄せられるようたどり着いたのがアイルランド。観光地をバスで周遊するだけでなく、この国の人々のホスピタリティーに触れていただけるようなツアー作りをしていきたいと思っています。




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