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表参道の裏道に建つ一軒家を改築した「PLACE IN THE SUN ON」。白いテントとウッディな建物、軒先の緑が美しい癒しの館です。アロマオイルの香りが漂うお店の中はコンセプトの「HAPPY & HEAL」そのままの心地よい空間です。今回登場するのはここに流れるゆったりとした空気にぴったりの智佳さん。優しい笑顔が印象的なスタイリストさんです。 |
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子供の頃から将来は何か手に職をつけたいな、と思っていたんです。自分で髪を切ったりするのは好きだったんですが、特に美容師になりたい!という気持ちはなかったんです。それで高校生のときに看護師を目指したのですが、勉強が大変だったので、小さい頃の記憶が蘇って美容師を選んだという、ちょっと消極的な理由なんです(笑)。当時の美容学校は1年制でその後インターンになるという時代だったのですが、私は1年が終わった後に専門科に進みました。ここでは実際にサロンでお客さまを迎えて送り出すまでを徹底して実習をするんですね。美容師の世界って華やかなイメージがありますが、この時代に決して華やかな部分だけではない美容の世界を経験しました。でも、この1年があったおかげでスムーズにこの仕事に就くことができたと思います。
最初に就職したのは青山の大型店。それまで研修していたお店とはまったく客層もお客様のライフスタイルも違ったので、ちょっと戸惑いました。技術の習得はもちろんですが、接客に関してすごく気を遣いました。あるお客さまに調子に乗って知ったかぶりして話をしてしまったことがあったんですね。それでテレビのニュースや雑誌を見て、自分の興味のない分野の情報を取り入れたり、いろんな年代の人と積極的に話をするように心がけました。
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ところがあるとき体を壊して美容師を休まざるを得なくなったんです。でも、やっぱり美容の世界が好きだから、どうしても携わっていたくて、知りあいのヘアメイクの方のお手伝いをしていました。アシスタントなんてたいそうなものではなく、雑用を担当するほんとにお手伝い。交通費と食事代だけもらってその方のお仕事の現場についていってました。もちろん、それだけでは生活できませんから、夜中は短期間でお金になる工事現場の交通整理のアルバイトをしていたんです。でも、この2年間の経験はものすごく役に立っています。たとえばサロンではお客さまがお店にいらして、カウンセリングしてスタイルを作り上げていくというプロセスが踏めますよね。でも、ショーやスチールの撮影などの現場では、突然打ち合わしていた内容が変わったり、モデルさんが急に変更になるなど、予想できないことがたくさんあるんですね。でも「できません」とは絶対に言えない。限られた中で自分の力を出し尽くして結果を出さねばなりません。アクシデントにも臨機応変に対応できるためには、自分の中の引き出しをたくさん持っておかなければならないんですね。サロンワークとはまた違う現場の経験をできて本当によかったと思っています。このブランクがあるからこそ、今の私がいるんだと思います。 |
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2年のブランクの後、美容師に復帰したのですが、以前同期だった人がすでにスタイリストになって顧客も持っている。やはり焦りは感じましたね。でも、またしてもブランクができたんです(笑)。結婚して、子供が生まれたので子育てのために仕事を休みました。その間はたまに友達にたのまれたときに、ちょっと髪をカットするくらいで、ほぼ子育てにどっぷり専念。そうしたら、復帰したときに今度は手が動かなくなっていたんです。シャンプーにしても、頭では覚えているんですが、そのイメージ通りにできないんです。少しずつ思い出すのですが、それでも以前が10だとすると7か8くらい。それにトレンドも目まぐるしく変わっていますから、スタイリングも以前のやり方が古くなっているんですね。それにカラー剤やパーマ剤も昔とは全然違う。もうすべてゼロからやり直しでした。でも、ブランクのために何もできないのは悔しいから、やるしかない。スタイル云々から勉強して、がむしゃらに仕事しました。
でも、ブランクや子育てを経験したおかげで、美容院はただ髪を切りに来るところじゃないなぁ、ということがわかったような気がします。若い頃はカッコいいスタイリングをすればお客さまに喜んでいただけると思っていましたが、たとえば主婦の方などは、美容院にいる時間は家事や子育てから離れることができる自分だけの時間。そういう意味でもお客さまに心からくつろいでいただけるように心がけています。 |
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休みの日は家にいるのが好きではないので、どこかに出かけています。小学校1年生と3歳の子供がいるのですが、海が好きなので湘南のほうや湯河原まで出かけたりします。もともと縫い物や刺繍をしたりするのが好きなのですが、以前、日暮里の布問屋さんに行ったときに可愛いボタンを見つけてからはボタンに夢中なんです。貝や木、竹やプラスチックなど、ボタンっていろんな素材があって、表情がすごく豊か。それにどう見ても使い勝手を考えていないようなデコラティブなものまであってすごく楽しい。ボタンひとつで洋服のイメージもガラリと変わるのがおもしろいですね。母親が30年前に着ていたニットのブレザーをもらったんですが、いかにもの金ボタンが付いていたんですね。でも、ボタンをシンプルなものに替えたら、まったく違うブレザーになりました(笑)。とにかくちまちまと細かいことをするのが好きです。
主人とは最初の店から今も同じ職場で働いているので、もう一緒に仕事するのが当たり前のようになっていますね。将来は、どこか温かいところでお店を持てればいいなあ、って思っています。
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