美容業界に入って、気付けばもう20年目。どうして美容師になろうと思ったのかは、実は定かじゃないんですけれど(笑)、やはり人と接することの楽しさ・おもしろさがこの道へ進むきっかけだったと思います。元々はどちらかといえば人見知りだったのに、学生時代に他者との繋がりというか、人と接することの楽しさに目覚めたのかな。それで高校卒業後、お昼はサロンでアシスタントとして働きつつ夜に美容スクールへ通って美容師免許を取得しました。私が美容師を目指す当時は、こういったスタイルで美容師を目指すのが一番の近道だったんですね。で、その頃アシスタントとして働かせていただいていたのが、このミフクグループなんです。だから、それから今までの20年間ずっと私は同じグループで働いていることになりますよね。でも、だからこそひとりひとりのお客様と永くお付き合いしていける。自分の成長を見ていただけるのと同じように、ゲストの成長をも見守れるというのは、美容師にとっては何よりの喜びのひとつですよね。人と接することで自分以外の価値観を教えてもらえる。この楽しさは接客業ならでは、じゃないかな。

  うちの店では、全5店のディレクターが集まって講師になり、グループの若いスタイリストに技術をレクチャーする活動を行なっているんです。サロンワークはもちろん、そういった講義のカリキュラム作成からスタッフの育成まで、どれもやりがいがある仕事だから楽しみながら頑張っています。ディレクターという立場だからこその大変さもありますが、せっかく信頼して任して下さったのだから、今は何よりもこの店舗、そして若手スタッフの育成をサポートしていきたいですね。だから、私自身は特に独立して自分の店を･･というような目標はなく、今の店とグループ全体をもっと盛り上げたい、スタッフをサポートしていきたい。というのが今後の課題でもあります。当店ではゲストそれぞれにその人向けに作成した提案書があり、この提案書とはそのゲストにどんなヘアスタイルが似合うかを考えてヘアデザインをデッサンしたものなんですが、こういった作業を積み重ねることで、私自身も日々イメージ力というか、想像力を磨く訓練をしています。美容師に必要なのが、技術や接客力はもちろんのこと、何より想像力じゃないかな、と強く感じますね。

  美容師というのは、自分の技術やセンスを日々アップデートしていかなければいけない職業。だから、研修でヨーロッパのヘアショーを見学に行ったり、お店でヘアショーをするなどして、常にどういうスタイルがトレンドなのかを勉強しています。今年の6月には国内のヘアコンテストでグランプリを頂いたこともあって、東京でのヘアショーに参加することもでき、自分にとって良い経験を積ませてもらったなと思っています。当店でも年に2〜3回は撮影会を実施しているので、そういうイベントが活性剤になり、日々技術やセンスの向上に力を入れられますね。ただ、年に1度はサロン仲間と海外へ旅行に行き、そこではとことんゆったりリラックスします。遊びと仕事を区別することで、より仕事に真摯な姿勢で向かうことができるかな、と。仕事ばかりでは良いものは作れないし、遊びで得たインスピレーションが役立つことも多々あるので、遊ぶときは遊ぶ、働く時はしっかりと働く、というスタイルが私には合っているのだと思います。旅行以外にも、休日は和歌山まで釣りに行ったり、本を読んだりして過ごすことが多いですね。

  アットホームなヘアサロンを目指しているので、当店ではユニークなイベントも時々開催しています。例えばハロウィンにはスタッフが仮装してゲストを出迎えるなど、こういうイベントを通してスタッフ同士の絆が深まれば何よりだし、ゲストにも楽しんで頂ければ嬉しいですよね。サロンディレクターの仕事は、ひとつの店をまとめること。売り上げなどの数字も重要ですが、どれだけスタッフ同士の絆を作れるか、というのも重要な仕事のひとつだと考えています。それに、スタッフが楽しんで仕事をしていればそういう空気はゲストにも伝わると思うので、最終的にはゲストが楽しんで来店できるお店を作っていきたいですね。これからも、店とスタッフの技術をレベルアップさせる努力を惜しまず、今の仕事を全うしたいです。スタッフを育成している立場として、最後に美容師を目指す方にお伝えしたいのが、なにより”あきらめない”ことが大切だということ。実際は体力勝負の大変な仕事ですが、我慢強く信念と情熱を持っていれば、きっと美容師として活躍出来ると思います。もちろん、私自身、これからもそういう気持ちをもって毎日をより充実させていきたいですね。