トム・クルーズ来日!京都のプレミアショーで舞台挨拶
トム・クルーズ
トム・クルーズって、ホントに"いい人"!!
about Tom Cruise
ファンの一人一人に微笑むトム
トムは、本当に"いい人"
about "the Last Samura"
2003年の最後を飾る、超オススメの映画
『刑事ジョン・ブック 目撃者』と
 『ブレイブハート』にフラッシュバック
トムの着物姿で、初詣の袴スタイルが急増か?!
清楚でシンプルな、たかの日本髪
『ラスト サムライ』からパワーをもらおう!
about Tom Cruise
ファンの一人一人に微笑むトム
 11月21日午後6時45分。雨上がりで冷え込み始めた京都、二条城の北大門に一行が到着。特設テントへの沿道を埋め尽くしていたたくさんのファンから、一斉に歓声があがった。
 トム・クルーズ、エドワード.ズイック監督、日本側の出演者の渡辺謙、真田広之、小雪、福本清三、小山田シン、それにスタッフ及び関係者達。みなにこやかに談笑しながら会場へ向かう。
 沿道からトムの名前を呼び、色紙や手を差し出すファン。トムは入り口付近のファンから順に色紙やノートを受けとり気軽にサインを始める。話しかけるファンにはちゃんと答え、握手を求める人にはギュッと手を握る。プレゼントもひとつずつ笑顔で受けとる。人垣の中には各マスコミのインタビュアー達も混じっていて、マイクマイクが差し出されるが、トムはそれにも丁寧に答える。そしてまたサインをし、握手を続ける。あのちょっとはにかんだようなトム'sスマイルは消えることがない。
 日本の出演者達も気軽にファンの声に答えている。ズイック監督以下、スタッフ達もどの取材にも協力的だ。そしてみなが本当ににこやかに笑っている。
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トムは、本当に"いい人"
 なんとも素敵な光景だった。和やかで、騒々しくなく、暖かい。しかし私が驚いたのは、それがテントまでの数百メートル、ずっと続いたことだ。時間にして30分。その間、運良くプレミアの招待にあたった700人の客は、トムが大勢のファンと直接触れ合うのを、ため息をつきながら会場の画面で眺めているだけ。
 真田広之があるインタビューに答えて言っていた。
「こんなプレミアは初めてです。今までこんな風に直接ファンの方と接する事はなかった。いやぁ、楽しいです」
 これは映画製作者側と配給のワーナーブラザース映画とで、最初から予定していたスケジュールだったらしいが、寒い庭園を包むこの和やかで暖かい空気は、イベントの域を超えていた。そしてそれは、トムを中心にして寒い庭園にフンワリと広がっていた。これこそまさに"トム・バージョン"。ファンを大切にするトムの気持ちが、 関わるヒトみんなに伝わっているのだろう。
 トム・クルーズって、本当にいい人なんだな。心からそう思えた30分だった。
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about "the Last Samura"
2003年の最後を飾る、超オススメの映画

 映画については最初に、結論。
『ラストサムライ』は、日本を描いたまれにみる素晴らしい映画だった。こんなに日本人の心を、そして日本の文化を、大切に扱っている映画があっただろうか。映画製作者達は、それをまるで「珠玉」ででもあるかのように、両手で大切に包み込んでいる。試写を見終わったときに、そんなイメージが頭をよぎった。
 それにしても、日本も日本人も何て遠くまで来てしまったのだろう。見終わっての帰り道、ノベルティでもらった真っ赤なフリース・ブランケット(入り口で全員に配布されたのだが、何で?と思った疑問も、すぐに納得。京都はやっぱり寒い! これなしでは心おきなく映画を楽しめなかっただろう)を肩に羽織って歩きながら、そう思った。
 サムライ文化が、サムライ魂が全て素晴らしいとは思わないが、勝元(渡辺謙)たちサムライの、何と誇り高く、そして強くて真っ直ぐなことか。トム扮する南北戦争の勇者オールグレンが連れていかれた勝元達が暮らす里山の、何と美しく、何と安らかなことか。今からつい百数十年前には、こんな暮らしがあったのだ。毎日忙しく追い回されて、自分の生き方も自信も見失ってしまった多くの日本人。私たちって、ホントに彼らの子孫? 映画に感動する自分が、なんだか異邦人みたいな気がした。
とはいえ、里山の景色や暮らしにはホッとする、一種の懐かしさみたいなものを感じた。これは私の中のDNAが、今でも日本人魂を宿し続けているからだろうか。『ラスト サムライ』は、DNAに眠る自分の日本人度を測るのに格好のスケールかもしれない。その意味でも、新たな1年を迎える年の瀬にピッタリの映画だろう。
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『刑事ジョン・ブック 目撃者』と『ブレイブハート』にフラッシュバック
 好きな映画というのは、目をつぶると20年近く前に見た映画でも、まるでさっき見てきたみたいにハッキリと目に浮かぶ。『ラスト サムライ』を見ながら「あっ、この光景は」と思ったのが、そんな映画の中の2本。ハリソン・フォード主演の『刑事ジョン・ブック 目撃者』※1と、メル・ギブソン監督・主演の『ブレイブハート』※2だ。
 インディアンとの戦いで傷ついたオールグレンが、里山でのサムライたちとの生活で心を癒していく様は、美しい田園風景の中で17世紀の生活様式を守って質素に暮らすアーミッシュの人々と交流するジョン・ブックの姿に重なった。
 自らの誇りのために命を懸ける戦闘シーンでの勝元やオールグレンの、敵を見据えるカッと見開いた目は、スコットランドの自由と独立のためにイングランド軍と闘った英雄ウィリアム・ウォレスの目と同じ、熱い輝きを放っていた。
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トムの着物姿で、初詣の袴スタイルが急増か?!

 それにしても驚いたのは、トム・クルーズの着物の似合うこと。渡辺謙がどこかで「トムはこんな風ですが、実は日本人なんです」と言っていたが、全くの冗談ではないような気がした。むしろアメリカの軍服姿の方が借り物に見えたほどだ。袴姿があんなにカッコいいなんて。日本の男性にもっともっと袴をはいてほしいものだ。
 殺陣に関しても、事前にもらったプレス資料に「彼(トム)は約1年にわたって毎日数時間、まさしくサムライそのものである献身と規律の精神で鍛錬に励んできました」とあって、フンフンと読んでいたのだが、映画の彼を見るやその言葉が掛け値なしの「鍛錬」であり、トム自身が真剣にそれに取り組んでいただろう事がよくわかった。
 そしてこの「真剣さ」が全編から感じられるのが、この『ラスト サムライ』なのである。とにかく忠実な再現を目指す。そのための徹底したリサーチ(トムとズイックが集めた本で図書館ができる、というのは本当だろう)や訓練に、スタッフ、キャストが、エキストラ(この数がまたすごい!)まで含めてみな真剣に取り組んでいる。アメリカ人の完全主義と片づけられない一途な想い、「日本文化への敬意」があればこそのことだろう。そのことが、見ている間、ずっと伝わってくるのだ。
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清楚でシンプルな、たかの日本髪

 自然さということでは、セットや衣装もそうだが、やはりらしさ編集部としては、日本人キャストのヘアスタイルに注目してほしい。何とすべて地毛なのである。だから小雪扮する勝元の妹たかの日本髪も、従来のイメージとは随分違う。それもずっと素敵な方に、だ。髷も不自然な高さではなく、ちょっとしたシニヨンの変形くらいで、あれならお正月にも、普段着の着物にもいいかもしれない。清楚でシンプルなこのスタイルは、また機会があれば、実際に作って紹介したい。
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『ラスト サムライ』からパワーをもらおう!
 日本人キャストが舞台挨拶で「映画を通して感じてほしい」と言っていたのは、制作スタッフやトムの敬意と熱意のことだろう。「見て、そして他の人に伝えてほしい」という言葉は、本音だと思う。
 同行の急造カメラマン(実はシステムデザイナー)が、「アレって思うところもないわけじゃないですけど、この映画はそんなことはるかに超えてますよね」と言うのもうなずける。『ラスト サムライ』が発する熱いメッセージと強力なパワーは、私たち2人を目的の駅よりはるかに先まで連れていった。何とか間に合った神戸行き最終電車でも、私たちの興奮は冷めなかった。
 日本人じゃない、そして日本の文化と魂を心から愛するアメリカ人だったからつくれた『ラスト サムライ』。今はもうなくなってしまった自国の文化を尊重して作られた、自国を扱う"外国映画"を通して、自分達のよってたつべき文化と魂について、今一度、考えてみたいと思う。『ラスト サムライ』は、その最良のテキストである。
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日本のことをこんなに大切に映画にしてくれた、トムとズイック監督と制作スタッフに感謝です。ほんとうに気持ちのいい映画でした。そして私の中の日本について、改めて考えさせられる映画でした。私も、もう一度映画館で見たいと思っています。
※1 『刑事ジョン・ブック 目撃者』
1985年アメリカ映画
監督ピーター・ウィアー
主演ハリソン・フォード)
殺人事件の唯一の目撃者は、"アーミッシュ"の6歳の男の子。事件に巻き込まれたその子と母親を市警の刑事ジョン・ブック(ハリソン・フォード)が護衛。17世紀の生活様式を頑なに守って質素に暮らすアーミッシュの村での、村人とのつかの間の交流と少年の母親(ケリー・マクギリス)との愛を、美しい田園風景の中に鮮やかに描き出す。アカデミーオリジナル脚本賞・編集賞。

※2 『ブレイブハート』
1995年アメリカ映画
監督・主演メル・ギブソン
13世紀のスコットランド。自由と独立を求めてイングランドと闘った実在の英雄ウィリアム・ウォレス(メル・ギブソン)の生涯を描く。政治的陰謀、敵王妃(ソフィー・マルソー)との恋、スペクタクルな戦闘シーンなどが展開する歴史ロマンの大作。アカデミー作品賞・監督賞・撮影賞・音響効果賞・メイクアップ賞。

 
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