ドライヤーで乾かすだけで柔らかいフォルムに仕上がるレザーカット

マスター／レザーカットの良さは、仕上がりで毛先がしっとり収まるところにあります。セニングでカットをすると、パーマをかけても毛先がワシャッとして少し広がることがありますが、レザーではありません。カットではハサミとレザーを併用しますが、質感を求める部分はレザーを使用します。私が主に使うのは、「顔まわり」「耳後ろ」「レングス調整」の3つです。

鈴木／私はショートやボブでレザーカットを行うことが多いですね。ハサミでカットをするとラインが出過ぎることがありますが、レザーならドライヤーで乾かすだけで丸みのあるフォルムに仕上がります。重さを求める場合も、ハサミではグラデーションの位置を計算しないといけませんが、レザーならほしい位置から切れるのでスピーディーです。段もつかないし狙った通りに仕上がるからいいですね。

井上／私は普段でも男性のお客様にレザーカットをすることが多いですね。今は重さを残したスタイルが主流です。重さを残す場合でも、セニングを使わなければお客様は思うようにスタイリングできません。そんな時にレザーでカットをすると適度な重さを残しつつ再現性の高いヘアに仕上げることができます。男性は女性より髪が硬くて毛量が多いので、そんなお悩みを解決する上でもレザーは重宝しますね。

マスター／使い方として、長さを決めたい時はしっかりとレザーを握ってカットしますが、私は量感や質感を調整する時に多用するので優しく持ってレザーの重さを利用しながらトントンという感じで薄く削いでいます。これが私流のテクニックです。レザーの持ち方が髪に連動するので、ソフトな毛先にしたい時はレザーも優しく持つのがポイントです。

重さを残しながら毛量調整が簡単にできるから再現性が高まる

鈴木／私も繊細なカットをしたい時にレザーを使いますが、それ以外にスタイルチェンジをする時にレザーを多用します。例えば、ミディアムからショートにする際に、ハサミでアンダーをカットするとくっきりした感じになります。でも、レザーならばっさりカットをしても自然なレイヤーが入っているのでドライしただけでソフトに仕上がりますね。

井上／お客様の中にはザクザクとした音に不安を持っている方もいますが、柔らかい質感を作るのに必要だということをきちんと説明するとご理解いただけます。さらに、プラスアルファの満足感があります。後は技術次第なので、そこは美容師の腕の見せ所です。

マスター／例えば、技術者がレザーでカットをしていて、自分の手にザクザク感が伝わるとお客様にも伝わっていると思います。そんな時は、新しい刃に替えて切れ味のいいレザーでカットすることが大切ですね。今後はレザーを使って、透明感のあるスタイルをご提案したいです。スタイリングがしやすく、また今までと違った雰囲気に仕上がるのでそんなスタイルを楽しんでいただきたいです。

鈴木／柔らかいスタイルだけでなく重さを残したデザインでも、見えない部分にレザーカットをするとスタイリングのしやすさが格段によくなります。なので、重さを残しつつスタイリングでの再現性を高めたデザインなどもこれからご提案したいですね。

井上／私も、重さのあるスタイルで表面にふんわりした動きや束感を作ったり、パーマや巻き髪にした時に柔らかい質感が出るスタイルをレザーカットでご提案したいです。それができるツールですし、それがこれからますます人気のスタイルになると思います。