最終回

色の魅力にとりつかれたカラリスト、ナカムが考えるヘアカラーの世界“茶”のソムリエが語るラグジュなカラー

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全10回
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更新日:2007年5月15日

其の十.何故、いまカラリストなのか

ブームが去り、ひとつの文化として定着した感のあるヘアカラー。文化とは、流行で一度大きな盛り上がりを見せ、そしてその中で生まれた新しい技術や課題を消化して、本当の意味での深みを増していくものなのです。ただ染めればいいというわけではない、ヘアカラーが自分を表現するひとつの手段となりつつある今、カラリストの果たす真の役割とは?

ブラックホールという言葉があるように、
そもそも“黒”は、全てをのみこむ(のみこんだ)色。

元々全ての色を含んでいるのだから、
黒を中心に引き算をしていくと、実に様々な色が見えてきます。

そして黒といわれる日本人の髪の色。
実は黒ではなく、限りなく黒に近い濁った茶色ではあるが、
ナカムは日本人をはじめ“黒髪”の人種にも
ブラックホールと同じような事がいえると思う。

実に多くの色が地毛の黒髪には、含まれている。
カラリストとは、その多くの色を繊細な引き算をし、
時に、足りない時は足し算をし、
色を創りだしていく職業である。

黒から始まる引き算カラーリングは
日本のヘアカラーの大きな特徴であり、
決して派手ではないが、
其の二.「四十八茶百鼠」を知っていますか?」で紹介した
四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)の言葉に負けないほどの
多彩な茶を髪で表現できるのも、
逆に日本ならではと言える。

何故、いまカラリストなのか。

ブームを過ぎて流行でなくなったヘアカラーはこの先もっともっと洗練され、
オーダーのレベルも上がるものだとナカムは考えています。
ただ単に流行っている色を身につけていた今まででなく、
より、今の自分らしく、今の気分にフィットした
色を身につける時代になる。
そう確信しています。

だからこそ、今“カラリスト”が必要なのです。

カラーリングのプロというとついついテクニックに走りがちですが、
実はそこではない。
カラーリングは膨大な経験と知識が積み上げられて
初めて出来る技術です。

本当のプロはその人を見た瞬間に、
どんなヘアカラーがいいか?
今よりもっとこうした方が良くなる。
という情報を瞬時に見抜き、
カウンセリングにてイメージとのすり合わせをし、
最適なヘアカラーを選択し、その通りに出来るのがプロ。

ホイルワーク(※)などのテクニックは、
あくまでも表現の手段でありプロセス。
逆にホイルワークをプロと謳う美容師は
テクニックに逃げている傾向があるとナカムは思います。

もちろん、そのイメージを創るための手段として
ホイルワークをはじめ、バリアージュ(※)など
様々なテクニックを併用はします。

編集部注:
ホイルワーク
アルミホイルを使ってカラー剤を塗り分けること。
また、ウィービングやスライシングなどの
ホイルを使ったカラーリングテクニックの総称のこと。
ハイライトやローライトを入れるときに使う。

バリアージュ
“バリアージュ”はフランス語で“ほうきで掃く”という意味。
ハイライトを入れる部分の毛束をピックアップし、
ハケを使い、ほうきで掃く様にカラー剤を塗る。
根本部分が暗く、毛先に行くにしたがってのグラデーションが
キレイに現れる効果がある。
フランスではハイライトはホイルワークではなく、バリアージュが主流。

市販のカラー剤が大量に発売されている中で、
セルフカラーをする傾向もありますが、
そういったカラーリングでは、
“なりたいイメージ”が実現されることは難しく、
やはりなんとなく色が変わる、明るくなるだけである。

全ての色をのみこんだ“黒”をベースに
そこから創りだす
ヘアカラーを極める事での表現。
それが
made in JAPAN のカラリストの役割なのではないだろうか。


◆最終回にあたって

“ノーコンセプトなんだよね。”

こうオーダーされるとき。
ナカムの思考はその瞬間“グッ”っと働く。

“ノーコンセプト”は英語で表現すると“up to you”が
比較的近いのかもしれない。

どんな人か?
どんなものが好きか?嫌いか?
普段はどんな事をしているのか?

様々なことが一気によぎる。
『う〜〜〜〜ん』なんて
お客様と一緒になって考え込むなんてカッコ悪い!

ヒトから感じるもので湧き出すイメージを
色で表現するためにアンテナをはる。

そんな緊張感がサロンワークには存在する。

“オマカセ”や“貴方にまかせるわ”の一言には
大げさかもしれないけれど、
カラリストとしての魂のギアがいきなり
トップに入る感触を受けます。

そして、ある程度信用してないと
口に出来ないこの言葉には、
美容師としての喜びも存在する。

“up to you”な方。
いつもありがとうございます。

そして10回にわたって続いたこのコラムも、
今回で最終回。

ずっと“up to you”な
信頼を得られるように、

当たり前のことですが、
いつも全力でカラーします。

・・・当たり前だな(笑)


※2007年5月15日公開時点での情報です。料金の表記は本文に明記のない限り消費税5%の税込価格です。
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