川上／
この『アドストDS』には、使用状況や目的に応じて最適な温度調整を行う『アダプティブ ヒート コントロール』（AHC）を搭載したことで、状況にあわせて『ノーマル／パワー／ダメージ』のモードから選択が可能になりました。従来のダイヤル式アナログタイプのアイロンは、アイロン操作中に起こる温度変化が分からず、ストレートパーマの施術や仕上がりに少なからず微妙な変化を与えていたようです。そこで、このアイロンは温度表示をデジタル化して、操作中の変化を『数字と色』で識別できるように開発しました。実際に使用していただいて、実感はどうでしたか？

EBINA／
このアイロンは、温度の上り下がりがひと目で分かるので、アイロンワークが計算しやすくなりました。従来のダイヤル式の場合、当たり前のように一定の温度で操作されていると思いがちです。ところが、ロングヘアを施術すると毛先部分では温度が下がっている。しかも、設定温度に戻るまでのタイミングも分かりずらいといった難点がありました。例えば、根元は常に同じ温度で熱を加えたい部分ですから、スピーディーにアイロン操作をした場合、まだ温度が上がりきっていないのに根元を施術するのは問題です。そこを改良されているので美容師にはありがたいし、同時にそれを教えてくれた画期的なアイロンだと思いますね。

川上／
プレート面では、従来のフッ素含有率を15〜20%ほどアップさせています。しかも、ペンキを塗ったような表面塗装ではなく、金属プレートに染み込ませて内部吸着を施した、新複合コーティングの『バイコートS』を採用しています。その結果、すべり性能が格段に向上したばかりでなく、プレート面の耐久性もかなりアップすることができました。

EBINA／
アイロンワークで、均一なスピードや同じ力加減で操作できないのは、技術者にとってストレスがたまりますよね。テンションが変わったり熱伝導効率が悪いとかかりムラの原因にもなりますから、このすべり性能はすごいなと実感しました。スタートしてゴールするまで、一定の操作で施術できる点で、このアイロンは現場で重宝すると思います。目で見える安心感と、手に伝わる実感の良さが従来のアイロンと大きく違うポイントですね。

川上／
さらにプレート面には、『スチームドレイン』といった2本の溝を設けました。これは、アイロン操作中に生じる毛髪内部からの水蒸気の流れをコントロールします。例えば、フラットなプレートなら、水蒸気が吹き出します。そうすると、根元を操作した時、お客さまの頭皮に水蒸気が当たってしまうんですね。それを軽減するため、アイロンの先端から水蒸気が噴き出すようにしました。また、熱効率も向上されて、結果的に施術時間も短縮されていると思います。

EBINA／
形状的な要素もあると思いますが、この溝のお陰で根元ギリギリからアイロンをはさむことができます。お客さまに対する恐怖感や技術者が抱く不安感が、この溝によって取り除かれていますね。当然、薬剤を塗布する時は根元を少し残しますが、薬剤をつけていない部分にもオーバーラップさせてアイロンの熱でクセを伸ばしたいんで、そんな時に重宝しますね。私たち美容師は、例えばカラー剤を調合する際に細かい比率で計算します。アイロンワークでも、毛髪の状態や薬剤の比率に応じて根元や中間や毛先で微妙な温度調整を行いたいんです。ところが、今までのダイヤル式だとすごくアバウトで分からない部分がありました。このアイロンは、モード設定だけでなく5℃刻みに温度調整ができるのでありがたいです。お客さまのカルテにも、『薬剤の比率』と『温度設定』が書き込めるので、サロンワークで重宝すると思います。